もくじ
『十二国記 白銀の墟 玄の月』前編を読んで
こんにちはヤンヤンです。
いつも見ていただいてありがとうございます。。
今回紹介するのは、シリーズ累計1,000万部以上のベストセラー、小野不由美 著 十二国記・『白銀の墟 玄の月』です。
十二国記には全編を通しての主人公はいませんが、泰麒を主人公とした『風の海 迷宮の岸』『黄昏の岸 暁の天』に続く続編が18年振りに発売されました。
全4巻のうち、2巻分を読み終わったので、レビューしていきたいと思います。
※後日、後半(第三巻と第四巻)も読み終わったのでレビューをしました。
よろしければご覧になっていただければ幸いです。
基本情報
新書: 371ページ
出版社: 新潮社 (2019/10/12)
言語:日本語
ISBN: 4101240620
発売日: 2019/10/12
梱包サイズ: 10.6 x 1.5 x 15.1 cm
新書: 421ページ
出版社: 新潮社 (2019/10/12)
言語:日本語
ISBN: 4101240639
発売日: 2019/10/12
梱包サイズ: 10.6 x 1.7 x 15.1 cm
著者プロフィール
小野不由美
大分県中津市生れ。
大谷大学在学中に京都大学推理小説研究会に在籍。
1988(昭和63)年、作家デビュー。
’91(平成3)年刊行の『魔性の子』に始まる『月の影 影の海』などの「十二国記」シリーズは、ファンタジー小説界に衝撃を与え、代表作となる。
2013年、『残穢』で山本周五郎賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
▼▼読書で疲れたあなたの目を優しくほぐす!▼▼
あらすじ
戴国に麒麟が還る。
王は何処へ―乍驍宗が登極から半年で消息を絶ち、泰麒も姿を消した。
王不在から六年の歳月、人々は極寒と貧しさを凌ぎ生きた。
案じる将軍李斎は慶国景王、雁国延王の助力を得て、泰麒を連れ戻すことが叶う。
今、故国に戻った麒麟は無垢に願う、「王は、御無事」と。
―白雉は落ちていない。一縷の望みを携え、無窮の旅が始まる!
民には、早く希望を見せてやりたい。
国の安寧を誰よりも願った驍宗の行方を追う泰麒は、ついに白圭宮へと至る。
それは王の座を奪い取った阿選に会うためだった。
しかし権力を恣にしたはずの仮王には政を治める気配がない。
一方、李斎は、驍宗が襲われたはずの山を目指すも、かつて玉泉として栄えた地は荒廃していた。
人々が凍てつく前に、王を捜し、国を救わなければ。―だが。
感想(ネタバレ含む)
息苦しい×焦らしプレイ×泰麒の成長
●文章が小難しくて疲れた!
読み終わって一番の感想は「疲れた!」です。
とにかく長くて、表現が小難しく、読みづらい。
人名と地名がとにかく多く、一応全部覚えようとするけど、それぞれの重要度も分からないし、脳のワーキングメモリーが悲鳴を上げてました。
しかたなくページを行ったり来たりしましたけど、先を急ぎたいのに足踏みさせられ、無駄に焦らされることに…。
情景描写が緻密なのは臨場感が出ていいんだけど、表現が難しすぎて全然入ってこないんですよね。
もう途中から諦めて、細かいところは飛ばし飛ばし読み進めることにしました。
壁の色がどうとか、どうでも良いですからね。
話の内容も光明が見えず、息苦しく、辛抱あるのみ。
その難解さは、まるで泰麒と李斎の闘いの困難さを表してるようでした。
●泰麒の成長がエモい!
本作の見所の一つが泰麒の成長ではないでしょうか。
アニメ『風の海 迷宮の岸』で幼かった泰麒とは大違いです。
たとえば再三の呼び出しにも関わらず、応じない部下で州宰の士遜(しそん)に対して、
「どうしても面会に応じようとしないのは、私に含むところがあるからでしょうか。私が州候では気に入らないと言うのであれば、ジショクを勧める、と伝えてください」
これを聞いた士遜は、慌てて駆けつけて来る羽目に。
(二巻156ページ)
また、冢宰(士遜の上司)の張運に対して、
私がやれと命じたことを行わない。士遜の思うところとやらが、その理由になるのですか? ――もう一度訊きます。士遜が命に従わないのは、貴方の指示ですか?
滅相もございません
では、士遜の増長ですね?罷免の理由になると思いますが
そう答えるしかないのだろう、張運は床に額を擦り付けるようにして「はい」と答えた。
もう以前のような幼さなど微塵も感じさせず、したたかさを感じさせます。
泰麒は麒麟=宰輔なので、ほんらい王以外に従うべき主人はいません。
位も明確に違います。
泰麒が下手に出てきたのを良いことに、好き勝手にやっていた張運や士遜たちでしたが、
あるべき序列を全面に出されれば、グウの音もでないのです。
ここまで進展がなくイライラする展開だっただけに、この場面はスカッとしました。
まるで印籠をだした水戸黄門みたいでした。
またなんとなく方向性が見えてきて、安堵もした場面でした。
●天意はどこに!
泰麒は天意が驍宗から阿選に移ったと言って、白圭宮に戻りましたが、ここでも天意・天啓の在処が問題になりました。
この世界では、天が神獣である麒麟を介して王を選びます。
しかしその天啓は麒麟にしか知る由がありません。
国民が信じるのは、麒麟という存在なのです。
それは麒麟が見せる奇跡によって、その存在が担保されているからです。
・獣(ユニコーンのような一角獣)の姿に転変する。
・空を飛ぶことができる。
・妖魔を使役する。
などです。
麒麟がウソをつくはずがないという人々の先入観を、今回泰麒は利用しました。
麒麟だと認めさせることができたら、天意は外からは分からないので、麒麟はいくらでもウソを付くことができるのです。
実際、張運をはじめ宮廷の人々は真意が掴めず、右往左往しています、読んでる自分ももしかしてと、疑念を拭いきれていません。
見事に泰麒と作者の術中にハマってしまいました。
それにしても天意に疑問を持つものがあとを絶ちません。
『風の万里 黎明の空』に出てくる慶国・止水郷の郷長・昇紘(しょうこう)もそうでした。
天意の存在を否定し、わざと非道を積み重ね、自分が天によって罰せられない事を根拠に、それを証明しようとしてました。
しかし、結局慶王である陽子が、自ら自分を捕らえに現れた事で、天意の存在を認め、潔く投降しました。
目に見えるわけじゃないし、努力でどうにかなるものでもないし、王を目指して叶わなかった人からすると理不尽に感じるんですね。
●老安で死んだ武将は誰か!泰王驍宗か!?
前半部のラストで飛び込んできた、老安の里(まち)で、驍宗と思われる武将が死んでいたかもしれない問題。
急いで老安に向かったものの、李斎たちはその武将が驍宗なのかどうか確証を得られませんでした。
驍宗かも知れないし、そうじゃないかもしれない。
そんな中、亡くなった武将の世話をしていた里の若者・回生だけが一人不審な動きをしています。
どっちつかずのまま話が終わり、三巻に続きます。
果たしてこの死んだ武将は驍宗なのか?
もし驍宗が死んでいたら?
その可能性は低いとは思いますけど、もし死んでいたら、泰麒によって新王が選ばれる可能性が高いのではと思います。
このまま阿選を放置して、「王は死にました」「反乱も失敗しました」で終わりじゃ誰も納得いきませんからね。
本はあと2冊分あるし、新王が国をまとめるに十分な量がありますし…。
李斎の線もあるかと思いますけど、意外と回生とかありそうですし、そっちの方が面白そうです。
●それ以外の残る謎!
琅燦(ろうさん)は味方か?
突如、阿選の後ろから姿を現した琅燦。
本当に敵なんでしょうか?
泰麒が白圭宮に戻って、初めて阿選と会った時、泰麒が言う、「阿選に天意が移った」が本当か確かめるために、泰麒を軽く剣で切ってはと提案しました。
本当の王なら黙って切られるはずというのです。
ここはホントに疑問でした。
だってもっと簡単に調べる方法があるからです。
麒麟は王以外に頭を下げることができません。
無理に下げさせようとすると、「そんなことするなら死んだ方がマシと」死ぬ気で抵抗します。
そして多分死にます。
アニメ『風の万里 黎明の空』で、もしかして間違った王を選んでしまったと悩む泰麒。
相談された慶国の麒麟・景麒らが、無理やり延王に頭を下げさせようとする名シーンがあります。
もちろん自分の王でもない延王には頭を下げる事ができず、自分は驍宗に頭を下げる事が出来たんだから、正しい王を選んだんだと泰麒が納得する感動的で、十二国記ファンならみんな知ってるシーンです。
自分は小説版は読んでないですけど、小説でも同じではないでしょうか?
琅燦は簡単な方法があるのにわざわざめんどくさい方法を選択しています。
おかしいですよね。
これは擬態ではないでしょうか?
もしかしたら驍宗の命令で阿選側に潜り込んでる可能性もあります。
また、耶利(やり)を使わした主人も琅燦のような気がします。
根拠というようなものではありませんが、宮殿に他にめぼしい人材が見当たりません。
正忠の線もありえますし、まだ未登場の線もありますけど…。
琅燦の行動には謎が多く、後半で明らかにされること期待します。
阿選はなぜ謀反を起こしたか?
そもそも阿選はなぜ謀反を起こしたか?
阿選の心情に対する記述は本当に少ないです。
ただ少ない記述から推測すると、嫉妬のような気がします。
元々驍宗と阿選は先代王に使える優秀な将軍でした。
2人は長い間ライバル関係で、変なこだわりで勝ちを捨てる驍宗にに対して、無敗を誇る阿選を上に見る人も少なくありませんでした。
それが、突然驍宗の方が王に選ばれてしまいました。
努力ではどうにもならない何かで、阿選は驍宗に負けてしまったんです。
それでやり場のない気持ちが凶行に駆り立てたのではないでしょうか?
阿選が謀反を起こした理由をずっと考えてきました。
分からなくはないですが、これだけがホントに理由だとしたら、ガッカリですね。
魂魄が抜かれたような官は何者か?
白圭宮に巣くう魂魄が抜かれたような官は何者なんでしょうか?
薬物?
宗教?
マインドコントロール?
ともかく阿選が関係しているのは間違いないようです。
川に食べ物を流してる家族
一巻から時々川に食べ物を流してる家族が出てきます。
名前も何も出てこず、なんとも怪しい家族です。
驍宗に関わってる匂いがプンプンしてきます。
老安はミスリードで、こっちが本命な気ががします。
おすすめする人、しない人
- 十二国記が好きな人
- 『風の海 迷宮の岸』『黄昏の岸 暁の天』を読んだことがある人
- 辛抱強い人
- 『風の海 迷宮の岸』『黄昏の岸 暁の天』を読んだことがない人
- せっかちな人
まとめ
『白銀の虚 玄の月』の一巻と二巻は、表現が難しく、読むのに疲れる伏線だけの本でした。
多くの謎が残りましたが、その分、後半の三巻、四巻への期待は高まります。
記事を最後まで読んでくれてありがとうございます。
記事を読んだ感想など、なんでも良いのでコメントを残してもらえるとうれいしです。
それでは以上になります。
チャオ!
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